こんにちはフカセです(`・ω・´)ゞ
今回はあなたも一度は気になったことがあるであろう、
「本当にハゲは遺伝するのか!?」
について考察したいと思います!!
1942年に発行されたかなり昔の論文も参考にしますので、
「AGAと男性ホルモンの関係性がどのようにして明らかになっていったのか」
という歴史についても知ることができる記事になっています(o・ω・o)
それでは、昔にAGA治療の手がかりを与えてくれた先人に感謝しつつ
メインテーマである「ハゲと遺伝」の関係に迫っていきましょう!!
目次
ハゲる人とハゲない人の違いは何か?
AGAを発症してしまう人としない人、その違いはどこにあるのでしょうか?
周りを観察してみると、
・ 女性で薄毛の人は少ない
・ 高齢の男性でもふさふさの人がいる
といったことに気づくと思います。
これらのことから、なんとなく
・女性になくて男性にあるもの
・更に男性においても個人差があるもの
が原因っぽいなということが推測できるのではないでしょうか?
女性になくて男性にあるもの・・・はある程度察しがつきますね笑
そしてそこに注目した偉大なる先人!ハミルトン博士の研究結果がこちらです!
ハミルトン博士による実験
ハミルトン博士の実験は1942年に世に出ました。
James B. Hamilton. Male hormone stimulation is prerequisite and an incitant in common baldness. Am J Anat. Vol.71, 3,451-480,Nov.1942.
イントロでも触れましたがハミルトン博士はある特殊な男性を対象にして調査を実施しました。
それは、女性になくて男性にあるはずのものをもたない男性。。。
オブラートに包むのはやめますね。
つまりキン◯マ(睾丸)を持たない男性です!!ドドンッ
さてさて睾丸を持たない男性にはある特徴があったそうです。
どのような特徴でしょうか?
・13歳までに去勢された人は去勢後もハゲなかった。
・14-19歳で去勢された人は、去勢後もハゲなかった。
・14-19歳で去勢された既に薄毛の人は、去勢後は薄毛が進行しなくなった。
なるほど、とにかく睾丸とったらハゲが進行することはないのね!
というわけで、「薄毛の敵は睾丸にあり!!」となりました。
さて、睾丸で生成される物質として、男性ホルモンであるテストステロンがあります。
よって、去勢された男性はテストステロンが分泌されなくなっているということになります。
13歳までに去勢された人、というのはまだ思春期に入っておらず、
睾丸からテストステロンが分泌されていなかったと解釈できますし、
14-19歳で去勢された人に既に薄毛になっていた人がいたのも、
既にテストステロンが分泌されていたかどうかに依存しそうです。
つまり、くどいようですがちょっと言い換えますと
・これまでテストステロンがなく、今後もテストステロンが分泌されない人はハゲにならず、
・これまでテストステロンがあったけど、その後テストステロンの分泌がなくなった人はハゲの進行が止まった
ということになります。
・・・・あれ?なんだかテストステロンがAGAの直接的な原因がしてきたぞ(´・ω・`)!?
でも決めつけるのはまだ早いです!
ハミルトン博士による実験 Part2
ハミルトン博士は続けてこんな実験をしました。
去勢した男性にテストステロンを注射してみたのです。
その結果。。。
・もともと薄毛じゃなかった人は、テストステロンを注射しても薄毛にはならなかった。
という、先程のテストステロン悪役説を覆す結果が得られました!!
この結果が何を表しているかというと、
テストステロンは薄毛の原因となり得るが、テストステロンが存在するだけでは薄毛にはならない。
ということになります。
つまり、高校数学の命題風に言うならば、
「テストステロンが存在することは、薄毛の必要条件だが十分条件ではない」
ということになりますね(笑)
えー、長々と述べてきましたが、
結局のところはテストステロンが分泌されていようが
「ハゲる人はハゲるし、ハゲない人はハゲねぇよ!」
という悲しい結論を得たわけです(T_T)
また、テストステロンを注射しても薄毛にならなかった人達に関しては、
「この人達の家系に薄毛の傾向は見られなかった」とハミルトン博士はコメントしており、
ハゲやすい体質が遺伝するのは確実といえるでしょう。
では、さらに「どういう人がハゲやすい体質なのか」について考察したいと思います!
ハゲやすい体質を生む原因とは?
近年、以下の分子の遺伝子に違いがあると、AGAの発症率に影響があると言われています。




ハミルトン博士の実験で、テストステロンを注射した際に薄毛が進行した人と進行しなかった人の違いは上の分子のいずれかに違いがあった可能性が高いです。
5α-リダクターゼⅡ型については、テストステロンをより強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)へと変換する機能を持つ酵素ですので、これの量が多ければ多いほど、また活性が高ければ高いほど多くのDHTが生まれ薄毛が加速されるでしょう。
また、DHTが結合することで薄毛を進行させるような成長因子を生産させてしまうアンドロゲン受容体も重要ですし、この薄毛にするシグナルを伝達する成長因子の一種であるTGF-βも同じく重要です。
つまり、AGAに繋がる多段階のステップを担う分子の違いはいずれも影響を与えている可能性があります。
ただ、この中にも遺伝子の違いによる影響が大きいのではと考えられているものがあります。
それがアンドロゲン受容体と5α-リダクターゼです。
アンドロゲン受容体の個人差
このアンドロゲンレセプターには多型が存在します。
言い換えると、その構造にちょっとした個人差があります。
他ブログなどを見ていると
「ハゲるかどうかはアンドロゲンレセプターの遺伝子中のCAGリピートとGGCリピートの和に依存する」
と書いているところが多いのですが、これは間違いです。
確かに一度そういう可能性を提示した論文が出たのですが、
その後もっと多くの患者さんのデータを統計的に見た論文で明確に否定されています。
これは、現在行われている遺伝子検査によるAGAリスク判定においてCAGリピートとGGCリピートの和が重要な指標とされてしまっていることで勘違いしてしまっている人が多いのかなと思います。
これらの話については別記事に詳しく書いているので読んでみてください(`・ω・´)ゞ
ただ、CAGとGGCリピートの和には依存しないものの、
CAGリピート単体についてはAGAとの発症率に相関があります。
ちなみにこれについては、相関が見られたのは東洋人だけでした!
結構、ある遺伝子がAGA発症と相関があるかについては人種間で差があるみたいですね。
ですので、人種が異なる臨床データにも少し注意する必要がありますね(o・ω・o)
5α-リダクターゼの個人差
5α-リダクターゼについても、
どのぐらいの量存在しているか
どの程度の活性をもっているか
によって、AGA発症リスクは変わってきます。
また、5α-リダクターゼにも異型が存在するようです。
Hayes VM, et al., 5alpha-Reductase type 2 gene variant associations with prostate cancer risk, circulating hormone levels and androgenetic alopecia. Int J Cancer. 2007 Feb 15;120(4)
この論文では、5α-リダクターゼⅡ型のアミノ酸配列の一部の変異がAGAのリスクに関わっていると述べられています。
具体的には、49番目のアラニンというアミノ酸がチロシンというアミノ酸になっている人ではAGAのリスクが50 %であるそうなのです!
また89番目のバリンというアミノ酸がロイシンというアミノ酸になっている型もあるのですが、こちらに関してはAGAの発症率への影響は確認されませんでした。
このように、5α-リダクターゼⅡ型遺伝子とAGAリスクとの相関は多少わかっています。
が、アンドロゲン受容体に比べてあまり重要視されていないようですね。
この理由を考えてみるに、ある変異があるとAGAリスクが上昇する、という結果じゃなかったからなのでは?と思います。
もしAGAリスクが上昇する変異があったならば遺伝子検査にも利用されて、認知度も高まっていた気がします(´・ω・`)
結論
残念ではありますが結論としては、
薄毛になりやすい体質は遺伝します。
世の中には色んなハゲに関わる都市伝説にも似た噂がありますが、
やはりこの説に関しては覆すことはできなさそうです。
ただ、もちろん同じ遺伝子をもっていても結果は変わる可能性があります。
それは、生活環境の違いも影響してくるからです。
ですので、あくまで“なりやすい”という表現にしました。
親族に薄毛の人が多い方はやはりこの結論を見てガッカリしてしまったでしょうか^^;?
僕もはじめは「やっぱり薄毛の遺伝子には逆らえないのか・・・。」と落胆した覚えがあります。
でも確かに辛い現実ではありますが、事実をしっかりと受け止めることが大事だと思います。
薄毛という現実に目を背け続けると何も解決しないまま悪化していく一方ですからね・・・。
これは何も薄毛対策にのみ当てはまる話ではありませんが、
大切なのは、この事実を踏まえてどう問題に対処するかということです!
最後に
今はAGAと戦うためのあらゆる武器(AGA治療薬&育毛剤)が揃っています。
続々と新しい武器も開発されており、だいぶ昔とは戦況も変わってきました。
敵の情報(AGAの原因)もわかってきましたしね^^
おそらく昔なら運命に逆らわずただ毛が抜けないように願うだけだったと思いますが、今なら反撃の狼煙をあげられます!!
賢く武器を使って運命(遺伝子)に抗ってやりましょう(`・ω・´)ゞ