デュタステリドの効果や副作用まとめ〜フィナステリドとの違いは?〜

こんにちはフカセでございます(`・ω・´)ゞ

キシリンさんから下のようなご質問を頂きました。


いつも説得力のある記事を楽しく読ませていただいています。

デュタステリドについて質問いたします。デュタステリドの効果や副作用、フィナステリドとの比較を専門的知見の観点から教えていただければと思います。

これまでに、読んだネットの記事で最高に説得力のある解説でとても面白いです。
お忙しいところ恐縮ですがお願いします。

ご質問ありがとうございます!

そしていつもこのブログを御覧頂いているということでありがとうございます(*´∀`*)

今回は、ご質問を頂いたのでカテゴリーを「Q&Aコーナー」にしようかと迷ったのですが、内容的にはフィナステリド系医薬品であるデュタステリドそのものの基礎知識ということで、カテゴリーは「AGA治療薬」の方に分類いたしました。

それではデュタステリドの基礎的な話からはじめ、包括的に効果や副作用などについても見ていきたいと思います(`・ω・´)ゞ

デュタステリドの歴史

デュタステリド(Dutasteride)は科学論文では1997年に初めて掲載されました。

それから、2001年の11月にグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)からアボダート(Avodart)という名で発売されました。

ちなみにグラクソ・スミスクラインは風邪薬のコンタックを作っている製薬会社で、世界的に見てもかなり巨大な企業です。

 

はじめはアメリカのみでの販売でしたが、その後ヨーロッパや南アメリカなどへも流通するようになりました。

デュタステリドは前立腺肥大症の治療薬として販売されており、もともとはAGA治療を目的として開発されたわけではありません。

この点についてはフィナステリドも同じですね。

 

そして時が過ぎ2015年9月28日に、AGA治療薬としてデュタステリド(0.1 mg, 0.5 mg)を含むザガーロカプセルの製造販売が日本で承認されました。

ちなみに名前は違いますが、ザガーロはアボダートと同じくグラクソ・スミスクラインが製造販売しています。

ですので、最近は巷のAGAクリニックでもザガーロを処方するところが増えてきました。

 

それでは背景をざっと見たところで、デュタステリドの成分としての特徴について見ていきましょう!

デュタステリドの構造情報

デュタステリドは下のような構造をしています。

 

フィナステリドと見比べてみるとよく似ています。

赤枠で囲んだ部分のみが異なっていて、デュタステリドの方がちょっとごつい構造になっています。

超余談ですが、構造式中のF(フッ素)原子は医薬品の脂溶性・膜透過性・結合親和性・代謝安定性などに大きく影響を与えるため、医薬品業界では非常に重要な原子だったりします。ただ、フッ素を導入した時に化合物の特性がどう変わるかの予想は困難なので、数打ちゃ当たる方式で色んなところにフッ素を入れてみて、評価を繰り返すというのが一般的です。ここではフィナステリドの赤枠部分をフッ素入りの構造に変えてみたら、たまたまいい感じに化合物の特性が改善され、より高い効果が得られるようになったようですね。

さて、この構造情報を踏まえた上で次は効果と作用機序についてです。

デュタステリドの効果と作用機序

フィナステリドの構造に似ていることからも容易に想像できますが、デュタステリドもフィナステリドと同じ効果を持ちます。

つまり、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に還元する5α-リダクターゼという酵素を阻害します。

 

具体的に描くと、下のような反応を起こらないようにするということですね。

これによって、AGAの主たる原因であるDHTの生成が抑えられるためAGA治療に効果があります。

 

作用機序もフィナステリドと同様です。

(フィナステリドの作用機序についてはコチラの記事に詳しく書いてありますので参考にしてみてください。)

 

ここでも軽くコメントしておくと、フィナステリドも5α-リダクターゼによって還元されジヒドロフィナステリドというものになります。

このようにフィナステリドはテストステロンの身代わりとなって5α-リダクターゼによる還元をうけることでDHTの生成を抑えます。

そして、デュタステリドも同様にテストステロンの身代わりとなると考えられます。

 

それでは、同じ効果・作用機序をもつフィナステリドとデュタステリドの違いはどこにあるのでしょうか?

デュタステリドとフィナステリドの違い

標的に対する阻害能の強さの指標としてIC50というものがあります。

IC50は50 % inhibitory concentrationなので、標的の50 %を阻害する薬の濃度という意味になります。

よって、この値が小さい程、標的の半数を阻害するのに必要な薬の量は少なくて済みます。

つまり、IC50の値が小さいほど阻害能はより強いということを意味します。

 

さて、ここでデュタステリドとフィナステリドの5α-リダクターゼに対する阻害能を具体的な数値で見てみましょう。

5α-リダクターゼI型に対するIC50
デュタステリドが0.7 nM、フィナステリドが81 nM
 
5α-リダクターゼII型に対するIC50
デュタステリドが0.05 nM、フィナステリドが0.16 nM

(※ nM(ナノモーラー)は濃度を表す単位です。)

 

この値をもとに計算しますと、デュタステリドはフィナステリドと比較した場合、5α-リダクターゼのタイプ1に対しては約116倍、タイプ2に対しては約3倍強く働くことになります。

特にタイプ1に対しての阻害能には大きな差がありますね。

 

また、少し視点を変えて考察してみると

フィナステリドはI型と比べてII型に対する阻害能が約500倍高いのに対して、

デュタステリドはI型と比べてII型に対する阻害能は約14倍高いということになります。

 

つまり、フィナステリドの方が5α-リダクターゼのタイプによって阻害能への影響が大きいです。

そのため、実際には多少なりともI型も阻害しているのですが、フィナステリドは5α-リダクターゼII型選択的な阻害剤という風に言われています。

 

一方で、フィナステリドほどは5α-リダクターゼのタイプにこだわらないデュタステリドはI型II型両方に対して有効な阻害剤と言われています。

 

デュタステリド濃度依存的なDHTの減少

デュタステリドがどのくらい強力にDHTの生成を抑えるのかを示した実験結果があります。

 

具体的には、被験者に以下の7つのどれかを24週間服用してもらいました。

①Placebo(プラシーボ: 有効成分を含まない偽薬)
②デュタステリド 0.01 mg
③デュタステリド 0.05 mg
④デュタステリド 0.5 mg
⑤デュタステリド 2.5 mg
⑥デュタステリド 5.0 mg
⑦フィナステリド 5.0 mg

 

その後、血清中のDHT濃度を測定した結果が下の図です。

縦軸はもともとのDHT濃度に対する24週後のDHT濃度の割合を%で表したものです。

つまり、縦軸の値が低いほど薬の服用によりDHT濃度が減ったということになります。

 

この結果より、デュタステリドについては0.5 mgで十分にDHT濃度を下げていることから、販売されているデュタステリド医薬品の含有量も0.5 mgとなっています。

 

また、このグラフでは横軸がデュタステリドの濃度になっており、デュタステリドの濃度依存的なDHT減少率の曲線が描かれています。

この曲線をもとにすると、フィナステリド5 mgのDHT生成抑制能力はデュタステリド 0.1 mgに相当するということになります。(図中のFと書かれているのがフィナステリド 5 mgのデータです)

つまり、デュタステリドはフィナステリドの50分の1の量で同じくらいのDHT抑制能をもつというわけですね!

 

そんなわけでデュタステリドはメチャメチャ強力です!!

こんな強力だったら副作用の発生確率も上がっちゃうんじゃ・・・と心配になる方もいるかと思いますが、どうなのでしょうか。

具体的なデータを見てみましょう。

デュタステリドの副作用

上で紹介した実験の被験者が、各グループにおいてどの程度の副作用(AE: Adverse Effect)を感じたかを表したのが下のグラフです。

なお、図中の用語は以下のような意味です。

Any AE: なんらかの副作用
Drug related AE: 薬の服用が原因による副作用だと観察者(医師)が判断した副作用
Serious AE: 重篤な副作用
Withdrawal due to AE: 副作用による服用中止

パッと見で思うのは、なんらかの副作用を感じたという被験者(Any AEのところ)の多さですΣ(・∀・;)

 

え、じゃあやばい薬なんじゃ?

と思うかもしれませんがよく見ると、フィナステリドもデュタステリドも含んでいないPlaceboのグループでも6割以上の人がなんらかの副作用を感じたと主張しているんですよね笑

まあこの試験は24週間という長い期間ですので、その期間に薬の服用とは関係なしに体の調子が悪くなる可能性は大いにありますしこのような高い割合が出るのはしょうがないと言えるでしょう。

 

副作用について考える時に本質的に重要なのは、副作用を感じた人の割合ではなく偽薬を飲んだPlaceboグループと有意な差が見られるかどうかということです。

そのポイントに気をつけてもう一度上のグラフを見直してみると、副作用の発生率はPlacebo群と比べて大差ありません。

 

ただ、深刻な副作用(Serious AE)が微妙に高めなのは留意しておかなければいけないかと思います。

実際、肝機能に障害が出ることがかなり低い確率ではありますが起こることがありますので。まあこの点についてはフィナステリドも同様ですね。

 

さて、フィナステリドとの比較をすると、全体としてデュタステリドを服用したグループとで有意な差は見られません。

ですので、デュタステリドの服用による副作用についてはフィナステリドと大きな差はないと言えるでしょう。

 

毛髪数の変化

最後に、発毛促進効果があるかを見た実験を紹介しておきます。

ここでは服用開始から12週目、24週目で服用開始前に対する毛髪数の変化をカウントしています。

縦軸が毛髪数の増減を表しています。

有効成分を含まない偽薬を飲んだ、Placebo群では当然ですが毛髪数が減少していますね。

 

一方、デュタステリドとフィナステリドを服用したグループは程度の差はありますが全て毛髪数が増加しています。

また、ここではフィナステリド(5.0 mg)による毛髪数の増加数はデュタステリドの0.1 mgに相当しています。

 

この結果からも、やはりDHT生成阻害能の高いデュタステリドの方が毛髪数の増加に対してもより高い効果をもつということが証明されました。

デュタステリドを含む医薬品

デュタステリドの強力さがわかったところで、代表的なデュタステリド医薬品について見てみましょう。

 アボダート(Avodart)

アボダート(Avodart)は言うならば、フィナステリド医薬品の中でのプロペシアみたいな存在です。

つまり、元祖デュタステリド医薬品ということですね。

その分、長い使用実績があるため非常に信頼できます。

 

また、グラクソ・スミスクラインという世界的な超大手製薬企業が製造しているという安心感もありますのでオススメです(`・ω・´)ゞ

 

 デュタス(Dutas)

デュタス(Dutas)デュタステリド医薬品の中で最安です。

しかし、一箱300錠の大容量のものしかないという欠点があります。

 

もちろん使用期限内に全て使用できるのなら問題はないのですが、
実際のところは商品到着後すぐに1日1錠飲んだとしても300錠を飲み切る前に使用期限がきてしまう場合もあるようですΣ(・∀・;)

もちろん使用期限が過ぎたからすぐにダメになってしまうというわけではないですが、ちょっと気持ち悪いですよね。

期限とか気にしないからとにかく安く済ませたい!という方にはよいかと思いますが僕的にはアボダートの方が無難だとは思います^^;

まとめ

以上、デュタステリドのフィナステリドとの主な違いとしては以下の2点が挙げられるということになります。

 5α-リダクターゼのII型だけでなくI型も阻害する
 阻害能がより強力である

 

実際、医薬品の取扱説明書の効果・効能の欄を見てみると

プロペシアでは「男性における男性型脱毛症の進行遅延」と書かれている一方で、
アボダートでは「男性における男性型脱毛症」という表記になっています。

ここからも、フィナステリドよりもデュタステリドの方がより強力なAGA治療薬であるということがわかるかと思います。

 

5α-リダクターゼを阻害するような成分は他にいくつもありますが、今現在その中で最も強力なのはデュタステリドです。

 

ですので、特にフィナステリドや他の成分で満足のいく結果が得られていない方はデュタステリドを試してみてはと思います(`・ω・´)ゞ

 

 

 

参考文献、Figure出典
Clark et al., J Clin Endocrinol Metab, May 2004, 89(5):2179–2184 Fig.1,3
Olsen et al., J Am Acad Dermatol, 55(6)1014-23 Fig.1

7件のコメント

  • キシリン

    わかりやすく解説していただいてありがとうございました。
    僕もこのサイトで勉強してハゲと格闘しています。最近deeper3dも買いました笑。

    • フカセ

      キシリンさん

      お役に立てたようでよかったです(`・ω・´)ゞ

      お、Deeper3D導入したんですね!
      僕の方は(最新の体験記にも書きましたが)4ヶ月使用してみて、ちゃんと改善したと言えそうな違いが見られましたのでキシリンさんも気長に使ってみてください(・∀・)!

      また何か疑問がありましたらお気軽にご質問ください^^

  • 数の子

    はじめまして。数の子と申します。
    現在アボダートを服用中なんですが、質問させて下さい。

    服用量についてなんですが、ネットでは1日0.5mgでも多いくらいとの情報をよく目にしますが、例えば倍の1ミリにしたとすると、効果の向上は見込めると思われますか?

    私は半年前から朝晩1カプセルづつ服用しておりますが、
    服用して1週間ほどで、脂の量と、ヒゲの伸びる速度が激減しました。(ついでに髪の伸びる速度も)

    半年たって肝心の毛量に関しては変わってないような気がするのですが、皮脂が減ると、やっぱり幾分ましにみえるんですよね。なので服用を続けているんですが、
    若干困った副作用というか、体に異状がでていまして、おなかを壊しやすいんです。
    常に若干お腹が張ったような状況で、加えて便も細く、軽く便秘気味です。
    で、下痢気味だったのは、デュタ服用のタイミングを食後厳守にしたところ、幾分ましになったので、ようは胃が荒れていて、そこからの消化不良のような感じなのかなと解釈しております。

    このまま1ミリ服用を続けることで、効果が増すことは考えられるのであれば続けようと思うのですが、どう思われますか?

    ネットの情報ですと、0.5を1にしたところで意味はないとの書き込み等見かけますが、個人的は2錠にすることで、皮脂激減等の作用を体感しているので、良いんじゃないか?とも思ってしまうんです。

    よろしければアドバイスいただければと思います。

    • フカセ

      数の子さん

      コメントありがとうございます!

      デュタステリド服用量を0.5 mgから1.0 mgにした場合ですが、臨床試験のデータを元にすると効果の向上はあまり見込まれません。

      というのも、この記事の「デュタステリド濃度依存的なDHTの減少」のところの図を見て頂きたいのですが、
      0.5 mgのデュタステリド服用時に既にほぼ100 %DHTが減少している、つまりは全くといっていいほどDHTがなくなっています。
      ですので、1.0 mgにしてもDHTが0.5 mg服用時と比較して大きく減少するわけではないので効果に大差はないと考えられます。

      しかし、そうなると数の子さんが感じられている「皮脂激減」に関しては少し謎です^^;
      確かに、DHTが多いと皮脂の分泌が盛んになります。
      ですので、0.5 mgから1.0 mgにして皮脂が少なくなったのならDHTも少なくなった可能性は否定できません。

      ただ、皮脂の分泌の原因がDHTだけかというとそうではなく、その他の要因(環境的なもの)などもありますので、
      もう一度0.5 mgの服用に変更してみて皮脂量が増加するかどうか見てみるのはいかがでしょうか。
      これによって、本当にデュタステリドの量が原因なのか明らかになると思います。

      薬を飲み始めて直後は血中濃度が安定していなかったりします。
      ですので、例えば数の子さんが最初の1週間は0.5 mgの服用をしていて、途中から1.0 mgに変更された・・・
      などであれば1.0 mgに変更したからではなく単に服用を継続して血中濃度が安定したため効果が顕著になったとも考えられます。

      数の子さんがどのぐらいの期間0.5 mgの服用もしてみたのかがわからないので的外れなアドバイスになっているかもしれませんが、
      一旦本当にデュタステリドの量が皮脂量の増減の原因か確かめてみてはと思います(`・ω・´)ゞ

  • 数の子

    回答ありがとうございます。なるほど確かに0.5でほぼほぼDHTをカットできてるわけですもんね。それ以上削りようがないといわれれば納得です。

    私が0.5~1ミリに移行した期間ですが、約5か月0.5を飲んでおります。
    おっしゃるように一度0.5に戻してみようかと思います。

    ありがとうございました。

  • だいすけ

    コメント失礼します

    昨年の秋頃からデュタスを使用し、その後アボダートへ変更…
    ネット情報で輸入代行品についての否定的な意見(偽物、粗悪品等)が多く見られたので、正規のザガーロを飲み始め3ヶ月が経ちました。3ヶ月目辺りから頭皮の脂も減り、抜け毛もかなり減りました。
    どれくらいで髪の毛が生えて来るものなのでしょうか?まだかなりスカッております。それとザガーロに変えてから髪にコシはあるようなのですが、毛が細くなりました。ザガーロに関係するのでしょうか?ご教授下さい

    • フカセ

      コメントありがとうございます。

      “どれくらいで髪の毛が生えてくるか”についてですがデュタステリドのみの場合は1年以上はかかるかなと思います。
      (もちろん1年経つ前にも徐々に改善されている経過は観察できるとは思いますが)
      あくまでデュタステリドは薄毛の進行を抑制するブロッカーとしての役割がメインなので、早めに完治といえるレベルにしたいのであれば他の治療薬だったりを使った方が望ましいと思います。

      “髪の毛にコシが出たが細くなった”というのはちょっと不思議ですね。。。
      ひとつ可能性を考えるとすると、デュタステリドでヘアサイクルが正常化してそれまで生えていた毛髪が抜ける
      →そして新しい髪の毛が生えてきたが、まだ十分成長しきっていないので細いままである(けれど新しい毛なのでハリはある)
      というところでしょうか・・・?
      いずれにせよデュタステリドで毛髪の量や質に悪影響が出ることはないと思うので、そこは心配しなくてよいと思われます!

コメントを残す