こんにちはフカセです(`・ω・´)ゞ
今回はプロペシアやフィンペシアといったAGA治療薬の有効成分である
フィナステリドについて結構詳しめにお話したいと思います!!
フィナステリドはAGA治療を行うにあたって
ひっっっじょぉおおおおおおっっっに!
重要な成分でございます!!
なのですごく力を入れて記事を書いた結果、かなり長くなってしまいました笑
というわけでフィナステリドに関する記事も何回かに分けて投稿しようと思います。
フィナステリドに関する記事のトップバッターであるこの記事では、
フィナステリドの絶対に押さえておくべき基礎的な話を臨床試験データを交えてお話します。
今後はフィナステリドの効果について、他サイトでは説明されていないような
作用メカニズムまで深く突っ込んだ記事であったり、
副作用についてまとめた記事であったり、
具体的な使用方法の記事などなどを追加していこうと思いますので、
この記事で基礎的なことを学んだ後、それらの記事でさらに深くフィナステリドのことを知っていってもらえればと思います(`・ω・´)ゞ
長い旅となりますがそれでは早速いってみましょー!
参考文献(臨床データの図もこちらより引用): Folia Pharmacol. Jpn. 127.495~502 (2006)
目次
治療薬開発の歴史
フィナステリドという成分は1983年にアメリカで初めて合成されました。
そしてはじめは前立腺肥大症の治療薬として、
1992年にアメリカのFDAという食品医薬品局(日本でいう厚生労働省のようなもの)に認可されて、
プロスカー(5 mg錠)の名で発売されました。
このプロスカーの開発過程における臨床試験において、AGAの人の薄毛が改善された例が見られたため、育毛成分としても注目されるようになりました。
そしてその後の研究により男性型脱毛症改善の効果が認められ、
1997年にAGA治療薬としての利用も認可されました。
ちなみにAGA治療の際のフィナステリド投与は、量が一錠につき1 mgという点で異なります。
日本においては2005年12月にやっと厚生労働省に認可され、
アメリカのメルクという大企業の日本法人である旧万有製薬から
プロペシアが利用可能となりました。
それまでは頭皮に塗るような外用タイプの育毛剤しか存在しなかったので、
プロペシアは世界初の「飲む育毛剤」であり、非常に注目されました。
そして今では世界の60カ国以上で承認されている薬となりました。
いや~それにしても日本で認可されるまでにプロスカー誕生から13年、
アメリカでのAGA治療薬としての認可からも8年遅れです!!
本当に日本って医薬品の承認が遅いな~とつくづく思います^^;
さらにその後、同様にフィナステリドを含む
フィンペシア、フィンカー、フィナックス、プロステリド
といった安価な薬が登場したことで、AGAの人の選択肢も格段に増えました!
それとともにどれを使えばいいのか・・・という悩みも増えましたがね笑
これらフィナステリド系の医薬品の比較などは本記事の趣旨から外れるので別記事(プロペシアとジェネリックまとめ〜値段や効果・副作用は?〜)にいたしました(`・ω・´)ゞ
フィナステリドの効果
フィナステリドの効果は、AGAの主要な原因物質である
ジヒドロテストステロン(DHT)生成の抑制です。
フィナステリドは5α-リダクターゼⅡ型を選択的に阻害し、
テストステロン→DHTの反応を抑制してDHTの量を減らします。
本記事では本当にざっくりとした効果の説明となってしまいましたが、詳しい作用機序の話はこちらの別記事に書きましたので、どうやってフィナステリドが効果を発揮しているのか気になる方はこちらも確認しちゃってください!
選択的な5α-リダクターゼⅡ型の阻害
5α-リダクターゼにはⅠ型とⅡ型が存在します。
フィナステリドがこれら両方を阻害するのかを確かめるため、以下のような実験が行われました。
まず、どのぐらいの量のテストステロンとDHTが存在しているかを測定できるように標識をつけたテストステロンを用意しました。
そして以下の2つのサンプルを作製しました。
(この際フィナステリドの濃度を段階的に変更したものを作製)
① 5α-リダクターゼⅠ型 + テストステロン + NADPH + フィナステリド
② 5α-リダクターゼⅡ型 + テストステロン + NADPH + フィナステリド
これらのサンプルを作製後10~30分程放置し、どのぐらいの量のテストステロンがDHTに変換されたかが測定されました。
変換されたテストステロンの量が少ない程、フィナステリドがちゃんと5α-リダクターゼを阻害できていたことになります。
この実験の結果、フィナステリドのそれぞれの型の5α-リダクターゼに対する阻害能(IC50※)が導き出されました。
Ⅰ型のIC50 = 5.0×10-7 [mol/L]
Ⅱ型のIC50 = 4.2×10-9 [mol/L]
※ [mol/L]は濃度を表す単位です。
ここではそれぞれの数値についてはおいといて、
この2つを比較するとⅡ型のIC50はⅠ型の120分の1なので、
フィナステリドはⅠ型に比べて120倍Ⅱ型を阻害しやすいということになります。
それゆえに、フィナステリドは5α-リダクターゼⅡ型選択的な阻害剤と言われているということです(`・ω・´)b
日本における臨床試験
日本人を対象としたフィナステリドの臨床試験は
二重盲検比較試験という、信頼性の高い手法で実施されました。
この試験では、20~50歳のAGAの男性患者398人を
① 1 mgのフィナステリドを服用するグループ (132人)
② 0.2 mgのフィナステリドを服用するグループ (131人)
③ 偽薬を服用するグループ (135人)
の3つに分けました。
二重盲検法では、医師と患者が共に、投与しているものが本物の薬かわからない状態で臨床試験を進めます。
つまり、①、②、③のどのグループに属している患者なのかを誰も知らないということになります。
これによって、観察側である医師のバイアスを防ぐと共に、患者さんが本当は効果がないのに効果があるかのように感じてしまうプラセボ効果も回避することができます。
なのでそういった疑念を排除できる点で非常に信頼性の高い臨床試験ということになります(`・ω・´)ゞ
本試験は48週間にわたって行われ、頭頂部の写真を撮ることでその効果が評価されました。
医師による評価
臨床試験前後の写真を比較し皮膚科の医師が
・著明改善
・中等度改善
・軽度改善
・不変
・軽度進行
・中等度進行
・著明進行
の7段階で評価しました。
↑頭頂部写真評価(投与48週目)
その結果「著明〜軽度改善」となった患者の割合は
1 mg投与されたグループで58.3 %
0.2 mgのグループで54.2 %
偽薬グループでは5.9 %となり、
偽薬グループに比べてフィナステリドが投与されたグループでは顕著に改善した人の割合が高い結果となりました。
また、「著明〜軽度進行」となった患者の割合は
1 mg投与されたグループで1.5 %
0.2 mgのグループで4.6 %
偽薬グループでは22.2 %となり、
偽薬グループに比べてフィナステリドが投与されたグループでは薄毛が進行した人の割合は非常に低いということがわかります。
患者による評価
この臨床試験では、医師の評価と共に患者による自己評価も行われました。
フィナステリド投与前後における毛髪状態についての7つの質問に対して患者が回答し、それを点数化しました。
すると、投与後12週目において既に1 mg及び0.2 mg投与群では、7つの質問全てにおいて、偽薬群よりも統計的に有意な差で優れた自己評価がされていました。
つまりフィナステリドを3ヶ月服用すれば何らかの効果は実感できるというわけですね(`・ω・´)b
さらに、24,36,48週目においても自己評価をしてもらったところ服用期間が伸びるにつれて平均点数は上がっていくという結果が得られました。
↑患者自己評価(投与48週目)
やはりフィナステリドは継続が大事ということですね!
毛髪数の変化
改善の度合いの評価とか漠然としてるし具体的に何本増えたか教えろや!!
という方もいると思うので(笑)、投与年数と毛髪数の関係を表したグラフを載せておきます。
このグラフは外国での臨床試験のデータを元に作製されています。
↑ 毛髪数の推移のグラフ
差は歴然ですね!!
年々、フィナステリドを服用した人と偽薬を服用した人とで差が広がっていることがわかると思います。
また、投与後一年は髪の毛の本数が増えるのですが、そこからは投与を継続している場合でも徐々に毛髪数が減少していることがわかると思います。
しかし、ここでは髪の毛の本数にしか注目しておらず、実際のところは本数がやや減少しても髪の毛の太さは増して外見上のふさふさ度合いは向上する例が多いみたいです!
国内の臨床試験では1 mgのフィナステリドの投与試験を3年に延長してみたところ、
なんと98 %の人にはAGAの進行が見られなかった
という驚くべき結果が出ております。
まさに鉄壁の防御力ですね!!!
副作用について
副作用についても同時に調べられましたがこの投与期間においては、
1 mg投与グループでは5.0 %
0.2 mg投与グループでは1.5 %
偽薬グループでは2.2 %
となり、グループ間で有意な差は見られませんでした。
ちなみにフィナステリド投与群で2例以上見られた症例は
リビドー(性欲)減退(1.1 %)と勃起機能不全(0.7 %)の2つだけでした。
また、肝機能の悪化の指標となるALT値及び総コレステロール値が上がった例もわずかにありました。
以上の結果より、今回の48週という服用期間においてはフィナステリドの副作用が出ることはほぼないと言っていいと思います。
偽薬グループでの副作用を感じた割合が0.2 mgのグループの割合を上回っているぐらいですからね^^;
また、外国での臨床試験の結果ですが、5年間の長期服用をしても副作用の発生率の増加は認められませんでした。
ですので、基本的に長期服用をしても副作用が出ることはマレであると言ってよいでしょう。
その他の注意点ですが、
妊婦の方の体内にフィナステリドが入ってしまうと、DHTの量が低下することによって、胎児(男)の生殖器官等の正常な発育に悪影響を及ぼす恐れがあるため、ここには注意が必要です。
加えて、フィナステリドがもともとは前立腺肥大化の治療薬であったことは冒頭でもお話ししましたが、フィナステリド服用中は前立腺がんの腫瘍マーカー検査をしても、正常時の半分程度の値しか出なくなるため、そのような検査をうける場合はプロペシア等を服用していることをきちんと伝える必要があります。
AGA治療におけるフィナステリドの位置づけ
臨床試験の結果を見ると、
0.2 mgと1 mgの服用で、薄毛が「改善」した患者の割合にはあまり変化がなく、薄毛が「進行」した割合は1 mgを服用した方が小さくなりました。
この結果を見ると、
フィナステリドには薄毛の進行を抑える効果こそあれ、
毛を積極的に生やす効果はないと考えられます。
もし積極的な育毛効果があれば、1 mgの方が0.2 mg投与された人たちよりも有意な差で改善が見られたハズです。
というかそもそも作用的にもそのような効果が期待できるわけではありませんしね^^;
つまり、フィナステリドはAGA進行のブレーキとしての役割を果たすのみであるということです。
それでも半数の人が改善したのは、薄毛進行にブレーキがかかっている間に、本来その人達に備わっていた毛を生やす力が、毛を抜けさせる力を上回ったからだと解釈できます。
逆に、もう自力では元気な毛を生やす力が残っていない人の場合、
薄毛の改善とまではいかず、薄毛の進行だけを止めていたのではないでしょうか?
実際、高齢の人ほど薄毛の改善とまではいかず、薄毛の進行を止めるだけにとどまったという臨床試験の結果があるので、やはりこの説は正しいかなと思います。
ですので、高齢な人ほどフィナステリドのみの服用での回復の可能性は低く、
ミノキシジルなど他の医薬品との併用が必要となります。
一方で、まだ20代になったばかりで自力で毛を生やす力は残っているはず!
という場合はフィナステリドだけでもかなりいいところまで回復できると思います。
ただ、フィナステリドのみの服用の場合、効果が出るまでにそれ相応の時間がかかることを覚悟しておいてください。
臨床試験の結果からも、フィナステリドは即効性のある薬ではないので早い人でも最低半年~1年以上使用し続けてからでないと顕著な改善は見られないと思います。
(患者自己評価では3ヶ月以上で効果は実感していますが、投与前にくらべてマシになっているということで、満足のいくレベルまでの回復とは限りません。)
ですので、「俺は気長に薄毛が治るのを待てるぞ!!」
という人はフィナステリドのみでの治療を試みるのもアリかもしれませんが、
「なるべく早めに薄毛を改善したい・・・!!」
という方はやはり他の薬との併用をして一気にたたみかけるのをおすすめします。
また、フィナステリドでどの程度まで回復できるかは個人差があります。
もしフィナステリドが効きにくいタイプの人の場合、薄毛の完治まで辿り着ける可能性は低いので、やはり安全な策は複数の薬を併用する方法となります。
具体的な組み合わせ方などは、フカセの実体験も交えて他記事で紹介するので、一緒にそちらで戦略をたてていきましょう!
まとめ
いかがだったでしょうか?
本記事では、プロペシア等を服用する前に知っておきたいアレコレを総合的にまとめてみました。
この記事を読んで、少しでもフィナステリドに対する理解が深まったなら嬉しいです(`・ω・´)ゞ
フィナステリドに対する基礎的な知識はもう大丈夫だと思うので、他記事のより発展的な話もチェックしていき、より一層AGA治療薬に対する理解を深めていきましょう!
それでは最後までお疲れ様でした!