育毛成分キャピキシル(Capixyl)の効果を作用機序から解説!

こんにちはフカセです(`・ω・´)ゞ

今回は既に有名ですが比較的新しい育毛成分であるキャピキシル(Capixyl)の効果について、作用機序まで掘り下げて考察してみたいと思います!

特に「ミノキシジルの3倍の効果」と宣伝されているのを見て注目した方が多いのではないでしょうか?

 

あのミノキシジルの発毛能力に肩を並べるだけでも難しいのに、その3倍の力なんて本当なのか!?

と正直、疑い気味だったのですがまずはちゃんとデータを見てみようと思って調査開始です(`・ω・´)ゞ

 

調べてみると、キャピキシルの開発元であるルーカスマイヤー・コスメティクス(LUCASMEYER COSMETICS)から意外としっかりしたデータが公表されていたのでそちらに沿ってご紹介します。

なお、本記事のデータ、図はコチラ(http://www.hatumou-life.com/wp-content/uploads/capixyl_kanzen.pdf)から引用しました。

結構実験内容も詳しく書かれていて、そのために説明も専門用語がバリバリ出てきてかなり難易度が高いものとなっていますので、「実験内容に興味はねえ!細けえこたあいいんだよ!」って方は各実験の最後に載せた結論部分だけ見ていく感じでもよいと思います(・∀・)!

キャピキシル(Capixyl)の構成成分

まずはキャピキシルの基礎知識から入っていきましょう。

紛らわしいことにキャピキシルは単一の成分ではありません

僕もはじめは1つの成分かと勘違いしていました(´・ω・`)

下の2つの成分を合わせてキャピキシルと呼びます。

 ビオカニンA(Biochanin A)

ビオカニンA

レッドクローバー(学名アカツメクサ)の抽出物に豊富に含まれるイソフラボンの一種です。テストステロンをDHTへと変換させる酵素である5α-リダクターゼ(2型だけでなく1型も)を阻害します。皮膚の炎症を抑える効果もあり、従来から湿疹などの治療に用いられてきました。

 アセチルテトラペプチド-3(Acetyl Tetrapeptide-3)

4つのアミノ酸が繋がってできたペプチドです。(具体的にはアセチル基-リシン-グリシン-ヒスチジン-リシンという構造です。)このペプチドはもともと組織保護能力と組織の再生による傷の回復を促すシグナルペプチドを模倣して作られました。そのため、このペプチドは毛包に直接働きかけそのサイズを大きくする・毛髪数を増やす・髪の毛を丈夫にさせる力をもちます。

 

これら2つの成分が配合されてできたのがキャピキシルですので、その作用機構をまとめると下のようになります。

 DHTの生成を抑制しヘアサイクルの「成長期」を延長する。

 毛乳頭周りの細胞外マトリックスタンパク質を増加させ、毛髪成長のためのしっかりとした土台をつくるとともに毛包のサイズを大きくする

 皮膚の炎症を抑える

それでは、これらの作用を裏付ける実験データを見ていきましょう(`・ω・´)b

ビオカニンAによる5α-リダクターゼの阻害能評価

ビオカニンA5α-リダクターゼを阻害する能力を、既知の阻害物質であるEGCG(epigallocathechin gallate)という緑茶から単離されるカテキンを比較対象として調べています。

<実験内容>

細胞をまいたプレートにEGCGやビオカニンAをそれぞれ加えて1時間経った後に、目印をつけたテストステロンを加えました。さらに3時間後に、薄層クロマトグラフィーという手法によって、目印をつけておいたテストステロンとそれが変換されたDHTの量を測定することで、5α-リダクターゼの活性を評価しました。

5α-リダクターゼ阻害能

その結果、何も加えていない場合(図中Control)に比べてEGCGではわずかな阻害能が確認された一方で、ビオカニンAでは5α-リダクターゼ1型には64 %の阻害能、5α-リダクターゼ2型に至っては93 %もの阻害能を示すことがわかりました。

 

これによって、ビオカニンAにはなかなか強力な5α-リダクターゼ阻害能があり、テストステロンのDHTへの変換を防いでくれることがわかります。

なお、EGCGの進化系の成分がリデンシルというキャピキシルよりもさらに新しい育毛成分の中に入っていますので気になる方はコチラのリデンシルについて書いた記事も参考にしてみてください。

繊維芽細胞中のヒドロキシプロリン量の増加量評価

ここからしばらくはアセチルテトラぺプチド-3を用いた実験が続きます。

繊維芽細胞(せんいがさいぼう)はコラーゲンやエラスチンといった真皮を構成する成分を作り出す、結合組織を構成する細胞の一種です。

 

一方、ヒドロキシプロリンとはコラーゲンを構成する主要なアミノ酸の1種です。

このヒドロキシプロリンの量を測定することで、細胞中でどの程度コラーゲン合成が行われているかを概算しようというのがここでの実験です。

<実験内容>

ヒトの繊維芽細胞(MRC5細胞株)をアセチルテトラぺプチド-3存在下と非存在下で7日間放置し、クロラミンT反応という手法によってヒドロキシプロリンの量を測定しました。

ヒドロキシプロリン

その結果、アセチルテトラペプチド-3存在下では、非存在下に比べてヒドロキシプロリンの量が約35 %多いことが確認されました。

よって、アセチルテトラペプチド-3はコラーゲン合成量を増加させることがわかりました。

ECMタンパク質合成に与える影響の評価

線維芽細胞によって真皮乳頭層というところにコラーゲン3型、及び毛包の固定化に重要なラミニンという細胞外マトリックス(ECM)タンパク質が生成されます。

毛包の大きさは毛乳頭の大きさに影響され、その毛乳頭の大きさは細胞外マトリックスの容量と細胞に影響をうけるということから、細胞外マトリックスタンパク質が重要だと考えその合成量が評価されています

<実験内容>

上の実験と同様にヒトの線維芽細胞(MRC5細胞株)をアセチルテトラぺプチド-3存在下と非存在下で3日間放置したのち細胞をスライド上に固定化します。そこに、タイプ3コラーゲンに結合する抗体、ラミニンに結合する抗体を加えます。それらの抗体に蛍光色素をつけておくことで、蛍光強度からどの程度の量のコラーゲン3型とラミニンが存在しているかを評価しました。

細胞外マトリックス

まず、顕微鏡で蛍光強度を観察したのが上図になります。

明らかにアセチルテトラペプチド-3を加えた右の写真の方が、何も加えていない(Control)左の写真に比べて赤色に光っていることがわかります。

細胞外マトリックス2

さらに顕微鏡で確認された蛍光強度を数値化するとこのグラフのようになります。

数値解析の結果、コラーゲン3型は65 %、ラミニンに至っては285 %も発現量が増加していることがわかりました。

よって、アセチルテトラペプチド-3はECMタンパク質の合成量を増加させることがわかりました。

コラーゲン7型の合成量評価

コラーゲン7型は係留線維のメインとなる構成要素であり、毛包基底膜の中心部や毛乳頭の周りに局在しています。

このコラーゲン7型の量を評価することで皮膚の修復能への影響を調べています

<実験内容>

4人のヒトの皮膚外植片(皮膚の切れ端を取り出したものと考えてください)をモデルとして使用しています。これに対してコルチコイドという分子をふりかけて皮膚の代謝を通常の老化によって見られる程度にまで落としています。更にそこにアセチルテトラペプチど-3を加え2日間放置し、ABCペルオキシダーゼキットとAEC基質というものを用いた免疫組織学的染色によりその影響の評価を行っています。

染色の結果をここでは下のように5段階で評価しています。

コラーゲン7型の半定量的評価基準

コラーゲン7型は染まっていない・・・・・・・・・・スコア0
少しコラーゲン7型が染まっている・・・・・・・・・スコア1
ある程度コラーゲン7型が染まっている・・・・・・・スコア2
通常の皮膚と同様にコラーゲン7型が染まっている・・スコア3
過剰にコラーゲン7型が染まっている・・・・・・・・スコア4

この評価基準によって、コルチコイドを作用した場合、そしてアセチルテトラペプチド-3も作用させた場合の状態をスコア化すると下のような結果となりました。

コラーゲン7型

アセチルテトラペプチド-3によって、コルチコイド存在下でも通常の皮膚(図中Control)と同程度のコラーゲン7型が存在することが確認されました。

これによって、コルチコイドによって落とされていた代謝能がアセチルテトラペプチド-3によって通常通りの皮膚の代謝能まで回復したということが主張されています。

ただ、この結果に関してはスコアが5段階とかなりざっくりしているし判断基準が「少し」「ある程度」などと曖昧なのでちょっと評価法としては微妙だな、という印象です^^;

コラーゲン7型2

さらに、コラーゲン7型に結合する抗体を作用させたところ、コラーゲン7型が真皮表皮接合部に存在することが証明されました。

図中のDEJ(dermal-epidermal junction:真皮表皮接合部)に沿って赤茶色っぽくなっている部分にコラーゲン7型が存在していることになります。

コルチコイドのみ加えられたものの写真(左下)を見てみると確かにアセチルテトラペプチド-3も加えた右の写真より赤茶色の部分が少ないことがわかります。

 

顕微鏡写真だと結構違いが明白なので、スコア化の件はさておきアセチルテトラペプチド-3はコルチコイドによって減少したコラーゲン7型を通常通りの量まで回復させる力をもつということがちゃんと確かめられたと言えるでしょう。

結論としては、アセチルテトラペプチド-3は真皮表皮接合部レベルで修復効果を示し、髪の毛をより強固に固着させる効果をもつ、と書かれています。

ミノキシジルの3倍の育毛効果

この実験が一番気になる人が多いかもしれませんね。

何をもってミノキシジルの3倍の育毛効果なのでしょうか?

<実験内容>

ヒトの頭皮から採取した毛包を培養液に浸し、双眼顕微鏡の下、フィルポット技術という名前の手法によって成長期の毛包を選別しました。選別された毛包は、何も加えていないもの、そしてアセチルテトラペプチド-3あるいはミノキシジルを加えた培養液で7日間培養しました。(ちなみに、使用した毛包の数はアセチルテトラペプチド-3については15個、残り2つについては27子でしたが、何故個数が違うのかが謎です。)

この実験では何も加えずに培養した場合(コントロール)と比較したときの毛包の成長度合いを% of activityと定義しています。

 

この値は、アセチルテトラペプチド-3の場合は下の式によって求められます。

% of activity={(アセチルテトラペプチド-3存在下での成長度)-(コントロールの成長度)}/(コントロールの成長度)×100

上の式によって、コントロールに対して何%毛包が成長したかを評価したところ、下のような結果となりました。

Hair growth activity

その結果、ミノキシジルがコントロールに対して+52 %の成長度を示したのに対してアセチルテトラペプチド-3では+156 %の成長度を示しました。

そのため、アセチルテトラペプチド-3にはミノキシジルの3倍の育毛効果があるということが示されました。

 

なるほどなるほど・・・。

正直第一印象は、育毛効果を毛髪の成長度合いで評価しているので、「ただ髪の毛伸びるの早くなっただけじゃね?」って感じでしたΣ(・∀・;)

でも成長スピードが早くなったということは、髪の毛がより活発な「成長期」に入っているということになるからあながち評価法としては間違ってないなと思い直しました笑

 

毛の絶対的な本数が増えるかどうかはこのデータでは判断しかねますが、弱くてほっそーい「退行期」の毛が活発な「成長期」に入ることで全体として見た目の本数が増えることは期待できます

というかそもそもツルツルにハゲているように見える人であっても頭皮を拡大してみるとめちゃくちゃ細くて短い髪の毛が生えているものなので、そういった髪の毛にちゃんと作用すれば一般的に「発毛」という単語でイメージされる「毛の本数が増える」という結果を得られるのではと思います。

 

そんなわけで、アセチルテトラペプチド-3がミノキシジルの3倍の育毛効果というのはあながち嘘ではない、ということになります(*´∀`*)

炎症性サイトカインIL-8の生成量評価

これまではビオカニンAとアセチルテトラペプチド-3を別々に実験に使用していましたが、最後の実験はそれら2つを混合したキャピキシルを使用しています。

ここでは炎症性サイトカインであるIL-8(インターロイキン-8と読みます)がどの程度キャピキシルによって抑えられるかを評価しています。

 

ちなみに、レッドクローバー抽出物のみでもIL-8の量を減少させる効果は先行研究により確認されているので、ここではそちらをキャピキシルの比較対象としています。(DMS:Dexamethasoneという分子も既知のIL-8を減少させる物質です)

<実験内容>

正常なヒト繊維芽細胞(NHDF)で作成した単一の層を作り24時間培養しておきます。そこにIL-1αという同じく炎症性のサイトカインを作用させることで繊維芽細胞に炎症を引き起こさせIL-8を発現させるのですが、IL-1αと同時にDMSやレッドクローバー抽出物、そしてキャピキシルも加えたサンプルを作製し24時間後にIL-8の量を酵素免疫測定法という手法で評価しました。

IL-8の産生量

その結果、既知のIL-8抑制分子であるDMSやレッドクローバー抽出物でIL-8の発現量が10~20 %減少しました。一方で、1 %キャピキシルでは48 %もの量のIL-8の発現が抑制されました。

キャピキシルの効果がこんなにも高かったのは、レッドクローバーだけでなくアセチルテトラペプチド-3も加わったことによる相乗効果によるものと考えられます。

 

よって、キャピキシルは相乗効果によって非常に強力なIL-8発現抑制能をもつ、と言えるでしょう。

まとめ

いやー記事を書き終えてみると育毛剤のデータの中でもすごくしっかりとしていて読み応えのあるデータでした!(まとめるの結構疲れました!笑)

ここまで読んでくださった皆さんもお疲れ様でした(・∀・;)!

 

それにしてもここまでデータを提示している育毛成分というものは中々他にはありませんね。

それだけでもキャピキシルの信頼性は他の育毛成分より高いと言えそうです(・∀・)!

 

全体として見てみて、キャピキシルはどちらかというとAGAの進行抑制と、育毛のための頭皮の基盤作りという役目であり、積極的に育毛をするミノキシジルみたいな成分とはちょっとタイプが違うなという印象を持ちました。

もちろん、ミノキシジルよりも毛髪の成長度が早くなるというデータもあるので育毛効果もあるというのは間違いなさそうですが。

 

キャピキシルを使った育毛戦略

こんな感じでキャピキシルの作用機構や効果を見てきましたが、この知識を実践に使えなければ意味がありません。

というわけでこのキャピキシルの作用機序と効果を踏まえて、どのようにキャピキシル配合の育毛剤を利用していくのが望ましいのか考察してみました。

 

ミノキシジルの3倍の効果と謳ってはいますが、これ1つでハゲが治る夢の育毛成分が出た!というわけではなく、あくまでAGA治療に使える手段が増えたと考えた方がよいです。

 

育毛にあたってのアプローチがミノキシジルとは異なるので、キャピキシル配合の育毛剤はミノタブとの相性が非常にいいです。

その中でもミノタブ+Deeper3D
が最も成分及びそれらの作用機構にカブりがなく相性が良い
です(`・ω・´)b

Deeper 3D

ミノタブだけ、あるいはキャピキシル配合育毛剤だけで効果が実感できていない方はこの組み合わせであれば効果が期待できると思います!

戦略のひとつとして考えてみてください(・∀・)!

また、フィンジア(FINJIA)は、このコンセプトを一つの育毛剤で実現しようとしたものです。

というのも、フィンジアにはキャピキシルに加えてピディオキシジルが含まれているからです。

ピディオキシジルはミノキシジル誘導体であり、非常に構造も類似しているため似た効果が期待されます。

なので、ミノタブとDeeper3Dの両方を揃えるのが面倒だ、という方はフィンジア一本でもいいかもしれません!

 

この記事の続き、キャピキシルの効果(臨床試験編)はコチラ

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