こんにちはフカセでございます(`・ω・´)ゞ
松田さんから以下のようなご質問を頂きました。

YouTubeで、「板羽忠徳 シャンプー」などと検索していただくと、板羽先生の動画が多くヒットすると思います。
板羽先生の考えは、「シャンプーの仕方を変えることが薄毛の改善に効果的である。具体的には、頭皮を動かすようにして、マッサージをするようにシャンプーを行うことで、血行促進を促し、髪に十分に栄養を行き渡らせ、薄毛を解消させられる」というものです(激しくシャンプーをしないことにより、新生毛が抜けないようにすることの重要性もお話されています)。
特に、頭頂部には筋肉がないため、外部から力を加えない限り、血流を改善することはできないそうです。血流が悪い状態では、せっかく服用したフィナステリドやミノキシジルが届きにくくなるため、AGA治療の効果が弱まってしまうように思えるのですが、AGA治療において、頭皮マッサージを導入する価値はあるのでしょうか。私には、板羽先生のお話が、非常に説得力のあるものに聞こえてなりません。
是非、フカセ様のご意見をお聞かせください。
研究でご多用のところ、誠に恐れ入りますが、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。
非常にご丁寧なご質問ありがとうございます^^
それでは板羽先生のマッサージ法に加えて、頭皮マッサージ全般についても考察してみたいと思います!
それでは早速いってみましょー!
目次
板羽忠徳先生の提案するマッサージ法
ご質問にある板羽先生の提案するマッサージ法について、知らない方のために少しご説明します。
基本的なコンセプトは“頭皮だけを動かす”ということです。
シャンプーの際、多くの方は髪の毛をゴシゴシ洗うと思います。
しかし、そうしてしまうと髪の毛を擦った際にデリケートな新生毛が抜けてしまう恐れがあります。
そのため、板羽先生はそれを防ぐためにも頭皮だけを動かすシャンプー法というものを提案されています。
提案されているマッサージ法は、部位などにより何種類かあるのですがそのどれも指先だけを頭皮にあてて動かします。
そしてなぜか全部海の生物の名前がついています笑
より詳しい内容は、下の動画で板羽先生が直々に説明されているので参考にしてみてください(`・ω・´)ゞ
それにしても、板羽先生髪の毛のボリュームがすこすぎて説得力が半端ないですねΣ(・∀・;)笑
(動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=isoleXV8Inc )
マッサージは育毛に効果的なのか?
マッサージをすると血流が良くなる
というのは多くの方が当然だと思われていることだと思います。
しかし、本当に頭皮においてもマッサージは有効なのか?
という点についてちゃんと調べたデータはあるのでしょうか。
そもそもこの説が間違っていたら元も子もないのでちゃんと検証しなければいけないですね!
ということで、ネットで探してみたところ
シャンプーなども手がけている大手企業の花王さんが詳しく実験して調べてくれていました!
参考文献: J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. Vol.48.No2 2014
ここからはその実験データを見てみましょう!
実験したマッサージの種類
ひとくちにマッサージといっても様々なやり方が存在します。
まずはどのマッサージ法が有効なのかを調べるため、
以下の4種類を被験者に対して試すことにしました。
揉捏法(kneading)
人差し指を用いて約2 kgの加重で頭皮を押したまま、ゆっくりと揉むように1分間刺激。揉む際の回転速度は1秒間に1回回る程度。
圧迫法(pressing)
人差し指を用いて頭皮に対して垂直に約3 kgの加重で押さえた後、ゆっくりと力をゆるめて加重のない状態にする。これを2秒間に1回程度の速さで1分間繰り返す。
強擦法(friction)
人差し指を対象部位近辺で往復動作させた。その際、頭皮に垂直方向に約1.5 kgの加重を加えた状態を維持。往復動作の速さは2秒間で 1往復程度とする。
軽擦法(stroking)
強擦法と同様の往復動作を頭皮に対して強い加重をかけないで行う。 往復動作の速さ強擦法と同様。
これらの手法を用いてマッサージをした後、血流量がどのように変化するかが測定されました。
前腕の血流量変化
上で挙げたマッサージの手技で前腕を刺激した場合の血流量変化のデータが下の図(Fig.-1)です。
前腕は頭皮の比較対象として用いられています。
縦軸はマッサージ前の血流量を100とした相対血流量です。
前腕においては強擦法がもっとも血流量上昇作用が強く、
ほかの方法では大きな血流量増加は確認されない結果となりました。
頭皮の血流量変化
続いて頭皮における血流量変化を測定した結果が下の図(Fig.-2)です。
ここでは前腕の場合と大きく異る結果が出ました。
頭皮の場合は、圧迫法が最も血流量を増大させました。
また、持続性の面でも圧迫法が優位な結果となりました。
順位としては、圧迫法、強擦法,、揉捏法かの順に効果的だったと言えます。
理想的な頭皮マッサージ法は?
上記の結果から、頭皮の血流量をより効果的に上昇させるための地肌マッサージ方法が考案されました。
具体的には圧迫法と強擦法を主体に、頭皮をほぐす目的で揉捏法を加えたものです。
これを大体3分程度で行います。
この簡便なマッサージ法によって、
どの程度頭皮の血流量を増加させられるのかを更に調べました。
理想的なマッサージ法による頭皮血流量変化
上で考案した3分程度の頭皮マッサージを行なった際の頭皮血流量の変化が下の図(Fig.-3)です。
頭頂部(pariental)、側頭部(temporal)の血流量が調べられています。
この結果を見ると、頭頂部と側頭部の両方で血流量が明らかに増大しています。
また、マッサージ後20分経過した時点でも血流量が約20 %上昇した状態になっていることがわかりました。
理想的なマッサージ法による頭皮の柔軟性変化
血流量の他に頭皮の柔らかさも調べられています。
下の図(Fig.-4)ではマッサージ前(before massage)とマッサージ後(after massage)での頭皮の動きやすさが示されています。
縦軸(score of mobility)が頭皮の動きやすさをスコア化したものです。
これをみると、全体的にマッサージ後に頭皮が動きやすく柔軟になっていることがわかります。
続いて、継続的なマッサージを行った後の頭皮の柔軟性を評価した結果が下の図(Fig.-5)です。
ここでは、7日間地肌マッサージを行い、最後のマッサージの翌日の頭皮の柔軟性が調べられています。
ここにおいても、マッサージ前(baseline)よりも一週間のマッサージ後(after 7 days)の方が柔軟性が大きくなるものが多いという結果となりました。
ただ、こちらについては有意な差ではなかったようです。
以上の結果を踏まえるとマッサージを行った直後は頭皮の柔軟性が上がるものの、そのやわらかさは必ずしも継続しないと言えそうです。
つまり、定期的にマッサージを行わないと頭皮の柔軟さは保てないということですね^^;
AGA治療薬と頭皮マッサージの組み合わせは効果的か?
ご質問中にもありましたが、
血流がよくなると服用したフィナステリドやミノキシジルが頭皮の方まで届きやすくなり、
そしてAGA治療薬の効果も出やすくなると考えられます。
この点に関しては僕も同じ意見です。
ただ、これがそのまま育毛効果を高めることに繋がるかというと必ずしもそうではないケースもあるかと思います。
というのも、AGAの原因となるDHTやDHTの材料となるテストステロンも血中に存在しており、
これらも同時に頭皮に届きやすくなると考えられるからです。
頭皮マッサージは結局育毛にプラスになるのか?
では、上記の点を踏まえると
頭皮マッサージは行った方がプラスになるのでしょうか?
それともむしろ行わない方がよいのでしょうか?
この答えとしては、
相対的に育毛を促進する成分と妨げる成分のどちらが多く血中に存在するかによると思います。
例えば、AGA治療薬や育毛のための栄養も豊富に摂取している場合であれば、
血中のDHTやテストステロンが頭皮に届いたことによる悪影響を上回るぐらいの好影響が与えられると考えられます。
しかし、AGA治療薬も服用していないし、育毛のための栄養もあまり摂取できていない・・・。
そのような状況で血流をよくすると、むしろ育毛を妨げる成分が多く届くことになり、必ずしもプラスには働かない恐れがあります。
まとめ
花王さんの実験の結果を踏まえますと、
頭皮マッサージは血流量を増大させ、育毛にはポジティブな影響を与えるということは確かだと考えられます。
ただ、その際には育毛に必要な栄養素などがちゃんと摂取できていることが条件だと思います。
今回は、マッサージを導入したことによって具体的にどの程度薄毛の改善率が向上する・・・
みたいな話は残念ながらデータ不足でできませんでした。
しかし、AGA治療に頭皮マッサージを取り入れることは十分価値があると思います。
自分で頭皮マッサージをするのであればコストもかからないので、気軽に取り入れてみてください(`・ω・´)ゞ
以上になります、松田さんご質問ありがとうございました!